ロスタイムに入った後半46分、残り1分。
セットされたボールは左サイドに渡り、そこからGK羽田の前を横切りそのままゴールネットを揺らす。
その瞬間、砥部の球技場から全ての音が消えた。テレビ中継のアナウンサーも、観客もテレビの前の自分も、すべてが凍りついたように固まった。
それは時間にすれば数秒だったのかもしれないけどとても長いものに感じた。
追い付かれての同点、そして試合は終わった。
砥部の悲劇
試合が終わってから考えた。そして今日の試合の意味(それがあるとすれば何なのか)を家族に説明した。人に説明することで自分自身にとっても整理できるような気がする。同時にそれは自身に言い聞かせるものでもあったと思う。
内容は、この今期最初で最後かもしれないNHKのテレビ中継が入り、多くの県民の皆さんに観てもらえるこのゲームで「あの劇的な(負けに等しい)引き分けは」ある意味アリだということ。
もしあれで、一点差にまで詰められ、後半グダグダの状態のまま逃げ切ったとしたら、観ていた人のほとんどが「やっとこさ勝ったけど、愛媛FCって大したことないなぁ」で終わった試合だったとおもう。
だから、ああいった形で追い付かれ、その瞬間球技場全体が異様な静けさに固まり、終了後、泣き崩れている選手と一緒にサポーターが悔し涙でクシャクシャになりながらも身を乗り出して叫ぶようにコールし励まし、フラッグを振っているあの姿を…
こんな愛媛FCこそを多くの人に観て知ってもらえて良かったと思う。
愛媛FCってどんなチーム?って聞かれたら、こんなチームだよってこの試合のビデオを見せられる、そんな試合だったと思う。
首位のホンダに負けない力と熱いハートはあるけれど、肝心なときに詰めが甘くて経験不足を露呈する。かなり泣き虫の(甘口で果汁が大目の)ミカン軍団。
たぶんいつかJに上がった時、今日の試合は「砥部の悲劇」と呼ばれるだろう
そして「あの引き分けでマジもう駄目かと諦めかけたよな(笑)、だけども今の愛媛FCがあるのはあのホンダ戦のお陰かもな〜」と、居酒屋で語られることだろう。おそらくたぶん
自分はJに上がるそんなチームには、草津ではないけれど、ある意味ドラマ(チックなエピソード)が必要だと思ってる。
そしてそれが1つ増えたのがあの試合だと解釈してる。
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以上の文はホンダ戦直後に途中まで書き、そのままアップせずに加筆したものです。
やはりなんだか、本当にこれなのかという気持ちが自分の中にもあったもので
結論はそう、過剰なほどのポジティブシンキングでなければ愛媛FCのサポなど努まらん!ということです。ヽ(´ー`)ノ